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「アナログよねぇ銅貨は……」
カウンターに置いていた、
私の携帯をものめずらしげに
ピコピコと遊ぶ銅貨を眺め
呟いてしまう。
銅貨も携帯は持っているが、
半ば強制的に、シンヤさんに
持たされたもので
(バイトの連絡をするため)
ほとんど携帯を携帯していない
ヤツだったりする。
機種も、カナリ古いタイプの
もので壊れたら買い換える
ぐらいの私の携帯機種でも
銅貨にとってはカナリハイテク
珍しいものに見えるらしい。
「エンはデジタルなんだ?」
携帯のボタンを押しながら、
楽しげに尋ねてくる。
酔いが回ってきているのだろう
目が濡れたように光っている。
早いところ家に帰さないと…
酔いつぶれる…
「ちがうわ、アナログよ」
ニコリと笑って言ってやると。
いつもの顔で銅貨が笑った。
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