悟朗くん

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相変わらず空は見えない、蛍光灯だ、 相変わらず気持良い風はふかない、エアコンの風だけだ、 俺は動けない、ただこの景色を毎日見ているだけ、 見える景色、 雑誌を読む青年、オニギリを買う生徒達、小説を探すおじさん みんな動いてる その足でしっかり動いてるだけど動けない、足がない手もない、 だから出たい、 買われて出たい、 外が見たい、 あの空、あの風、全部見たい全部感じたい、 待つ、その時が来るまで、その時だった 店員さんが僕達の棚に近づいて来た、手に何か持っている、 それは先輩だった、 店員さんは先輩を僕の横に置き去って行った、 先輩を見た、 落ち込んでいるというより、恐怖で少しおかしくなっている様子だ、 恐る恐る話しかける、 「あの・・・・先輩?」 先輩は話だした、 「地獄だったよ・・・・人間ってやつは、物大切さを知らない、動く物には過剰に反応するくせに、俺達動かない物には容赦がない」よく見ると、 先輩は体が黒汚れ、 角は丸くなり、 ところどころに、何かで刺したような丸い穴が何個もあった、 「何があったんですか?」僕は聞く、 「教えてやろうか・・・・あぁ、教えてやろう、地獄の話を・・・・・」
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