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「今日の夜なんだ…」
海がひどく冷たく感じる。
「もう、体が限界まで来てるらしい。」
目のあたりが熱いな……
「じゃあ、これが最期なの…?」
私は震えてしまう声を必死に押さえた…頬に冷たい滴が流れた…。
「なんだか、急に怖くなって来ちゃった…玲太が死ぬの…」
「俺だって怖かったさ。でも、明日香が約束してくれたから今は怖くない…安心してる。」
そういうと、玲太は私と唇を重ねた…。
「戻ろうよ。時間が来るから。」
玲太の手を握って私は車に乗り込んだ。
その後、玲太は死に顔をみんなに見られたくないと言って、静かに死を遂げた…。
そして、医師から渡されたのは小さな瓶に入った白い粉と、玲太の遺書だった。
医師はそれを渡すと、静かに去っていった。
遺書にはこう書いてあった。
『明日香へ。
そうだな…何から話そうか。約束の事はもう言ってあるよね?言ってなかったら困るので言います。これからも笑顔で明日香らしく生きてください。そして、新しい彼氏を探して、幸せに暮らしてください…と言っても少しずつでいいです。急には難しいと思うので。それに加えて、瓶に入ってる粉、これは俺の心臓に一番近い骨を粉状にしたものです。これは、明日香が俺の死を糧にして前向きに生きられるようになったら、あの時二人で行った海に流してくれ。
それじゃあ、明日香の幸せを願います…。』
あぁ…玲太らしいな…
きっとこの骨は、私が玲太の死を乗り越えられるまで一緒に居てやるよって事なんだろうな…。
もう心配いらないよ…?
私は玲太との約束を守ります…。
これからの私の未来は笑顔で楽しいんだ。時には涙を流すかもしれない…でも、きっと大丈夫…。
今私は玲太と一緒に来た海にいる…。
瓶の栓を開けた。
「ありがとう…約束は守るよ…絶対…。」
瓶を逆さにすると…中にあった骨が渦を巻きながら…空に散っていった………
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