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「本当に大丈夫?理香」
「うん、平気平気。それより‥ごめんね、帰り遅くなっちゃって」
外は既に夕闇に染まっている。
学校の裏の山からだろうか、微かに蜩の鳴く声も聞こえた。
さっき、彼の前で弱音を吐いてしまった自分を、理香はそっと恨んだ。
人前で泣くのはずいぶんと久しぶりな気がする。
(やっぱり、最近の私ってば確実に弱くなってるなぁ‥)
心の中は後悔の気持ちでいっぱいだった。
実にまで迷惑をかけるなんて、最悪だ。
思い詰めたような理香の横顔を実は心配そうに見つめ、それから思い出したように明るい声音で言う。
「あ、ぼく送ってくからさ!ちょっと待ってて」
そう言うが早いか、自転車置場に走って行ってしまった。
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