イヴのディナー

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表へ出るとチラチラと雪が舞っている。 ホワイトクリスマス。 健志は急に胸の奥から熱い何かこみあげるものが湧いてきた。 ポロッ。 あれ? …涙? 涙がとめどもなく溢れて出てきた。 …まだ好きなんだ。 …まだこんなに好きなんだ。 沙織里に会いたい。 会って強く抱き締めたい。 涙がどんどん出てくる。 空を見上げる。 ふわふわと雪が舞い落ちる。 いくつもいくつも限りなく雪が舞い落ちる。 でも雪の力でこの涙は流しきれない。 優しく落ちる雪の力ではこの涙を洗い流すことはできない。 END
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