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「将来とかどうするの?」
「え?あぁ、えと、まぁ、言い難いというか……」
彼女の表情が曇る。
将来が未定だとか不安だとかではないのだろう。
あくまで直感だが。
彼女は将来が決定している気がする。
しつこいが、あくまで直感だ。
夜だと時間感覚というのもいまいち冴え渡らない。
明るさ等は変わらないし、変わったとしても微妙なだけだろうから、気付くわけがない。
「なんで?」
「うっ……。あ、あんまり迫らないで下さい……」
「あんまりなら多少迫るけど?」
体を彼女に近付け、顔を彼女の前にもっていく。
線が細くて、肌は白い。つくづく美人だな。
「も、もう…………」
「はい?」
「もう…………我慢……出来ない!!」
彼女は俺の首に両腕をまわし、抱き付いてきた。
普通、嬉しさだとかが込み上げるのだろうが、生憎そんな余裕はなさそうだ。
首が痛い。
痛い。
彼女の歯が、刺さってる。
二本だけ。
犬歯かな。歯というより、牙だ。
そして、逆流。
表現はよくわからない。とにかく、首が、熱い。
血が首に集まってくる。
そしてなくなっていく。
熱い。痛い。
「離……せ!」
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