出会いは唐突だ

7/7
前へ
/60ページ
次へ
「将来とかどうするの?」 「え?あぁ、えと、まぁ、言い難いというか……」 彼女の表情が曇る。 将来が未定だとか不安だとかではないのだろう。 あくまで直感だが。 彼女は将来が決定している気がする。 しつこいが、あくまで直感だ。 夜だと時間感覚というのもいまいち冴え渡らない。 明るさ等は変わらないし、変わったとしても微妙なだけだろうから、気付くわけがない。 「なんで?」 「うっ……。あ、あんまり迫らないで下さい……」 「あんまりなら多少迫るけど?」 体を彼女に近付け、顔を彼女の前にもっていく。 線が細くて、肌は白い。つくづく美人だな。 「も、もう…………」 「はい?」 「もう…………我慢……出来ない!!」 彼女は俺の首に両腕をまわし、抱き付いてきた。 普通、嬉しさだとかが込み上げるのだろうが、生憎そんな余裕はなさそうだ。 首が痛い。 痛い。 彼女の歯が、刺さってる。 二本だけ。 犬歯かな。歯というより、牙だ。 そして、逆流。 表現はよくわからない。とにかく、首が、熱い。 血が首に集まってくる。 そしてなくなっていく。 熱い。痛い。 「離……せ!」
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

317人が本棚に入れています
本棚に追加