月明かり

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  爪を噛むのは悪い癖だ 分かっていてもやめられそうにない   「寒いのかい?」 「…うん」   主はとても気のいい人 優しく体を温めてくれる 僕が出ていかないように 願えば全て叶えてくれた   (どちらが主か分からないな…)   熱くなる体に比例して益々冷めてく心   舌を這わし 指先が踊る   けれど決して繋がらないと 分かっている主は何度か様子を伺うと諦めたように後ろから手を引いた   「ごめんなさい…」   申し訳ないと思う けれど、それで主を苦しめて居ると分かっている   「いいんだ…口でしてくれるかい?」   緩く首を振る これ以上、この人とはやっていけないと思った   「馨(ケイ)…」   切実に聞こえる声 互いの熱を合わせて 乱れていく呼吸   登りつめて 爪先を丸め 背中に傷を付ける       収まる事のない痒きは満たされないままで      
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