育成日誌二ページ~守護獣との出会い…ていうか獣?~

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美咲が見たら、乙女の淡い恋心が軽く音を立てて、崩れ落ちんばかりの事象を振り撒いていた遊は謎のオカマ化現象も落ち着いて、今度は絶望に満ちながらとぼとぼと帰路についていた。 遊の家は閑静な住宅街の一画にある。一般家庭より、やや大きい構えの家に彼は一人で住んでいる。兄弟はいなく、両親は事実上生きているが、彼の中では死亡報告が永久に出ている。 何故なら遊が中学生の頃、朝起きてリビングに行ったら、誰も居らず、代わりに 「宇宙の神秘を確かめたくなった。暫く帰らないから♪生活費は口座に入ってるぞ☆by 遊の永遠のアイドル兼越えられない壁のパパより♪」 という明らかに人間を辞めた方が良い奴の手紙があった。この時遊は 遊(…死ねばいいのに…。何だ宇宙の神秘って。大体♪とか☆が死ぬほどウザいし、吐き気しか湧かない。大体発想が二次元の住人か厨二病か。よし、今度面見たら生きてる事を嫌と言う程後悔させよう。) と思った。この瞬間全生物のランクに変動が起こった。自動的に遊の父親が最下位になった。因みに母親も父親に付いて行ったが、母親の方はゲスな父親と違い、遊にとって尊敬すべき人なので、父親が行った事を世界が喜び、母が行った事を嘆き悲しんだ心境だった。 そんな風に遊がいい感じに父親を反面教師にして人生の厳しさと人の愚かさを学んでいた時、遊の目の前にあり得ない光景が浮かび上がった。 繰り返すが彼の自宅は閑静な住宅街にある。その住宅街の中の彼の自宅の前の道路のど真ん中に人が倒れていた。明らかに違和感が生じる光景である。 遊「……何じゃ、こりゃあ…。」 遊が腹に銃弾を受けて、血を見て発したような台詞を言いたくなるのも無理は無い。実際こんな事あり得ないのだから。 更に言うなら、遊は見つけた途端駆け寄って抱き起こしたが、倒れていた人は女性であり、言い得るなら世界三大美女が目玉飛んで、身体中の穴から体液を吹き出し、裸足で亜高速で駆け抜ける程の意味不明になる程の美女だったのだ。 簡単に表すと、最上級の絹の様な長い髪に、知的でありながら、妖艶で何処か儚さを秘めた端正な顔立ち、服装がローブではあるが、隠しきれない豊満でしかしスレンダーな体型。 ある種の女性の理想の体現をなした女性が倒れていたのだ。 遊が取り乱すのも無理は無かった。というか取り乱さない方が可笑しかった。
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