育成日誌二ページ~守護獣との出会い…ていうか獣?~

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5月も初め頃を迎えて、梅雨入りの如くザァザァと雨が降りしきる中、遊は珍しく一人で帰宅していた。 遊(一人で帰るのも久しぶりだな…。美咲は友達と遊びに行って、忍は…拉致か…。忍よ、いとあはれなり。) 要約すると遊が授業が終わり、一緒に帰宅しようとした時、美咲は仲良くなった女子達と遊ぶからと、忍はまた別の女子達に拉致されようとしていたので、一人で帰宅する事にした。教室を出る時、忍と何故か美咲が目で何かを訴えていたが、遊はそれを華麗にスルーして、今に至る。 遊(忍もいい加減諦めろよ…。毎回の事なのに…。美咲は何がしたいんだ?それよりも…どうすっかな…。) 遊には悩みがある。守護獣の事である。 GEHSのカリキュラムとして、新入生は守護獣の専用科目は1ヶ月の内に守護獣の基礎知識の授業と併用して、パートナーとなる守護獣を自ら選ばなければならないという規則がある。 守護獣は個人の信念などの心情と資質を図り、心を通わせて初めてパートナーとして認めるという性質がある。彼らは自らが主と認めた者と共にあると誓って、能力を与えるのだ。 だからこそ、自分で探し、互いに認め合うパートナーを得る。 この考えからこのカリキュラムが生まれたのだ。しかし、遊は今、この素晴らしい思想に基づいたカリキュラムによって悩んでいる。何故なら… 遊(何でどいつも俺のパートナーになってくれない…?というかなれない?) 現在遊のパートナーは0。期限は近い。ドン底のどん詰まりである。遊とて怠けていた訳では無く、むしろ誰よりも探していた。 守護獣は彼らの世界、「幻界」に住む者と、遊達の世界に住む者とで別れている。遊達の世界に住む守護獣は、竜や幻獣の類いは山脈地帯、動物の類いは森等の平野地帯と生息地が別れている。 遊は忍、美咲と一緒に生息地を回っていたが、何れも既に契約済みもしくは契約を断られていた。竜等は人語を操れる者もいるので、その時の断った理由は… 竜A「う~ん、悪いけど何か無理。うん、無理。」 と、バッサリと言われていた。 遊(何でじゃ~!俺そんなに駄目な子か…?) 遊はかなり凹んでいた。ネガティブの塊だった。忍達はその途中で既に契約が出来ていたので、それが更に遊を凹ませていた。 今の遊は窓際族を長年強いられ、中高年でバッサリとリストラされて、これからの人生に悩むオッサンと互角位のネガティブだった。
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