新たなる舞台の開演

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これまた10分後、地面に這いつくばり動きすら見せない親父を他所に、母さんは楽しげに手を叩いて鼻唄を歌っている。 大半はオレがのしたが、致命的なダメージは全て母さんが喰らわせていた辺り、さすがあの親父の伴侶だなと実感した。殺り所がオレとは違う。うむ、学べるな~。 「いや~!蓮ちゃんやるわね~♪」 ニッコニコしながら母さんはオレにそう話してきた。ま、だてに成り行きでも『組』を潰しちゃいないさ。 「…それはいい。それより一つ聞きたい事があるんだが…」 …あまり10歳より先の事は話したくないオレは、母さんの問い掛けをスルーし……ずっと疑問だった本題を聞く事にした。 「…梓の…事よね?何で『あっちの世界』で死んだのに、『こっちの世界』で生きているのか…でしょ?」 …話が早い親は非常に助かるな。まぁ…色々とツッコみたい事はあるが、それはこの際聞かなくてもいいだろう。後で聞くハメになるだろうしな。 「…あぁ。どうしてだ?オレは目の前で……梓が…撃たれたのを見た。…間違いなく…即死だったハズ。なのに…何故?」 「え?そうなの?」 …いやいやいや、ちょっと待て梓よ。嫌なとは言え実体験だろ?アレが脳裏から消えてるとはどういう都合の良さだ? 「…とりあえず、今から……」 「…私が説明した方がいいだろうな。」 …出てくるな、リビングデッド親父。屍は屍らしく朽ちてろよ。 とはとてもじゃないが言えなかった。親父の表情が見た事がない程真剣味を帯びていたからだ。 「…この世界、『フェルシアーナ』は……言うなれば位相の違う地球でな。隣接はしているが、触れる事や見る事が出来ないもう一つの地球であり…非現実世界だ。」 …ツッコみたい事は山程あるが、まぁ無限ループの危機があると予測した為、敢えてスルーしておこう。 「…それで?」 「…位相が違うと言うだけで、この世界も地球もさして変わらない。ケータイが普及し、巨大ビル群がそびえ立つ街があり、皆が生活している。ただ違う点は……『魔法』という存在だけだな。」 …さして変わらなくないだろ。アレか?メガネ掛けた少年が10歳で先生やったりする世界なのか?それともアレか? …って、それはないか。
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