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「…で、コレから言う事は本来地球に『しか』いないお前には話すべきではないんだが…、…来ちゃったんならしょうがないから話しておこう。」
…まだまだ沢山の単語がオレのツッコミセンサーに引っ掛かるんだが……流すべきだよな。
「…実は、フェルシアーナと地球には…同一人物が存在するんだ。姿、声、血液型、癖…全てが自分と同じ人が。ホラ、よく聞くだろ?『地球上には同じ顔の人が三人はいる』って。アレな~…同じ顔どころか同じ人なんだな、コレが。」
「…で?」
「え?『マジでか!?』とかのリアクションは無し!?」
…そんな事やってたら一向に話が進まないだろうがクソ親父。
「…まぁいい。で、俗に『ドッペルゲンガー』と呼ばれるその超常現象だけど、それはフェルシアーナ側の人間が同じヤツ見たさに、地球の自分の近くに行った事が始まりだ。ちなみにコレは紛れもない事実だ。都市伝説の類いじゃない。」
…ふ~ん。で?
「で、ココからが蓮が知りたがってた内容になる。何故地球で死んだハズの梓がフェルシアーナにいるのか?…って説明しなくてももう分かるよな?」
「…あぁ。この梓が、『こちら側の人間だから』だろ?」
「ご名答♪」
…サムズアップして白い歯を輝かせても、お前のキモさは変わらんぞ。というか、オレはお前にそれを逆さまにしたヤツを見せてやりたい。
「…じゃ、梓に銃殺された時の記憶がない理由も分かるよな?……って言いたいところだが、実はそうじゃない。実のところ、地球で存在が消えた人間の記憶は、フェルシアーナ側の人間に譲渡されるんだ。こちらには死に至る程の病気の類いがないから、滅多な事がない限りフェルシアーナ側の人間が先に死ぬ…なんて事はないからな。それに……お前はこちら側では『存在自体していない』稀な人間だからな、こちら側で私達夫婦以外お前を知っているハズがない。…言いたい事、分かるか?」
うん、サッパリ分からん。
かいつまんで言えば…記憶は死んだ後で共有されるっぽい事、本来地球にもフェルシアーナにもいるべきもう一人の自分が、オレはフェルシアーナにいない事。それと今までの会話全てを参考に導き出される結論は…
「…あの時、オレの名前を呼んだ時点でおかしくないか?こっちの梓はオレを知らないハズ、なのにオレの名前を呼んだ。…でも死んだ時辺りの記憶がない。…つまり…」
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