終焉の序章

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月明かりが差し込む廃ビルの一室… それに照らされていたのは、手足をロープで固定され震える女性と、その女性の側頭部に拳銃を突きつける男。 その周りを十数人の男達が守り、手には鈍く輝く刀身を備えた…日本刀やナイフがあった。 「…手を…出すなと…言っただろうが…!!」 そんな男たちの前には、息も絶えだえであらゆる箇所に切り傷や殴られた後を残した『少年』の姿が。 「…手段は選ばない、そう忠告したハズだが?にも関わらず…、お前はそれを無視した。…制裁は必然だろう?」 「…そいつは…梓は…関係ない…!!」 「それはこちらが決める事だ。もとより、お前とこの彼女を『生かして帰す』つもりはないがな…。」 ゴリッと拳銃を押し当てる音が、静かなこの空間に響き渡る。 「…世間の評判からしても、お前が彼女を殺して後追い自殺…つまり『無理心中』という事で片付く。大方お前が悪いというレッテル付きでな…。」 口角を歪めながら、男は楽しげといった表情で撃鉄を起こしていく。 「…哀れ彼女は狂った彼氏に殺され、自らも人生にピリオドを打つ…。誰もがお前がした愚かな行動に嘆くだろうな…。…実際は…いや、結局『彼氏のせいで死ぬ』事実は変わらないがな…!」 「嫌…!助けて…っ!」 キリキリと撃鉄が起こされる音に、女性は自らの死のカウントダウンをされているかのような感覚に陥り、カタカタと震えを増す。 「…では、そろそろ彼女にはこの世からおさらばしてもらうとするか…。…儚い人生だったが…最後は一瞬で終わらせてやろう…!」 「やめ……グボッ…!!」 女性に近づこうとする少年の脇腹に、別の男の凶刃が突き刺さる。 「…終わりだ。天国で末永く暮らすがいいさ…!」 「…や…めろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 乾いた音が響き渡った。 …直後、女性はコトリと力無く横たわり、もう目覚める事のない眠りについた。 まるで薔薇の花びらに埋もれるように 赤く染まる床に身を横たえながら…
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