71人が本棚に入れています
本棚に追加
まるでそれが合図だったかの様にアイツと話しをする事もなくなった
アイツの瞳に、あの黒耀石を嵌め込んだ様な綺麗な瞳に捕らえられていた自分はもういないんだ―
あの出来事から二週間経った…俺達の関係は最悪な状態のままだった……
今日は土曜日、天気も晴れやかで外からは幼い子達の騒ぎ声が聞こえてくる
俺はこんな休日に何かをする訳でもなく、部屋のベットにゴロゴロと寝転んで思考の波に呑まれていた
俺達は生まれた時からずっと、何をするにも一緒でこれからも一緒に居て当たり前だと思ってた
それが当たり前すぎて疑うって脳すらなかった
いつかは必ず“別れ”がやって来るはずなのに―
でもアイツは傍に居てくれるだろうと、俺が望めば隣に居てくれるだろうと…
でもそんなのはただの俺の甘えだった
アイツはもっとずっとずっと前から離れたかったのかもしれない
もう俺の傍になんか居たくないと思っていたのかもしれない
そして俺はあの日アイツにあの瞳に拒絶されたんだ
俺はもういらないんだ
俺はもうアイツの“幼なじみ”でいられないんだ
“特別”じゃないんだ―
何で?どうしてこんなにも苦しいんだろう?
どうしてこんなにも悲しいんだろう?
どうしてこんなにも胸が痛いんだろう?
自分の胸元をぎゅうっと握り締める
ズキズキと痛んで悲鳴を上げている様だった
見えない闇に呑み込まれてしまいそうだ
アイツが傍にいないのがこんなにも恐ろしい事だなんて知らなかった
こんな気持ちになるのは“幼なじみ”だから?
違う、わからない…でも違うんだ、きっと違う
考えても、考えても答えなんか出て来なくて…
苛立ちをぶつける様に髪の毛をわしゃわしゃと力任せに掻き交ぜた
そして一筋の涙が俺の頬を伝った
窓から差し込む光がやたら眩しく感じた――
.
最初のコメントを投稿しよう!