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歩き始めて30分、俺の目の前には青く蒼く透き通った湖が拡がっていた
太陽の光が水面を反射してキラキラと輝いていて神秘的だった――
「凄く久しぶりに来たけど相変わらず綺麗だな」
その湖に引き寄せられる様に近寄って草の上に足を抱える形で座った
さらさらと風が流れる
どこまでも蒼く美しい湖が俺の心までも綺麗にしてくれるんではないかとそんな根拠もないのに漠然とそう思った…
そして、透き通った水面に魅入っていると…
ふっと――アイツを思い出した…どこか似ていると、そう感じた
…それは一体ドコなんだろう?
確かに俺は知ってる…この、俺を捕らえて離そうとしない引力を…息をする事もままならなくなるこの重力を……
昔から感じていたコレは何…?
時に厳しく、時に優しく
でもいつも温かく傍にあり続けるモノ……
――ああ、コレはアイツの“瞳”なんだ…
…と、納得するように、そしてそう感じるのは当たり前だと言うように、体中があたたかなモノでいっぱいになっていった――
そして同時に虚しくもなった…
どうしてアイツが此処にいないんだとか、どうしてあの瞳は俺を映さないんだとか、俺はアイツの“特別”じゃなかったんだとか…
次から次へとアイツに対する想いや願いが途切れる事はなくて――
沸々と浮かび上がる堪え切れない怒りとブラックホール並に大きく膨脹してしまった悲しみがごちゃまぜになって俺に襲い掛かってきた…
―俺はどうすればいいの?どうしたらアイツは俺の傍にいてくれるの?
答えなんて返ってくる筈ないのを知っているのにそれでも俺はアイツに何度も何度も同じ言葉を問い掛ける
―ねぇ…俺はどうすればいいの…?どうすればあの頃に戻れるの…?
―ねぇ…俺はお前が1番必要なんだよ…?お前は違うの…?
―ねぇ…あの時の、この場所で交わしたあの言葉は…“約束”は…まだ有効ですか…?
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