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最近アイツは俺と目を合わせなくなった
キョロキョロと目を動かして戸惑う様に笑う事が多くなった
俺が寝る事を伝えるとアイツは俺に気付かれない様にちいさく息を吐いて気が抜けたのか椅子に深く腰掛けた
どうして、そんな顔をする?
そんなに俺と顔を合わせるのは嫌…なのか?
俺はアイツに背を向けて歩き出す
アイツの事を想いながら考えながら
一歩、一歩…アイツから離れて行く
本当は聞いてしまいたい
どうして、俺の目を見ない?
どうして、俺を避ける?
どうして…どうして――
でも、アイツを俺の勝手な想いで縛り付けたくない…困らせなくないんだ
でも…俺達はいつまで“幼なじみ”なんだろう
傍にいて笑ってくれているだけで十分なはずだった…
でも、アイツへの想いが深まる度、愛おしく想う度どんどん欲が増えて抑えられなくなる
自分自身が分からなくなる程俺はアイツを………
大丈夫、眠って終えば全て“いつもどおり”だ―
だから俺がアイツに背を向ける度に感じる視線はきっとアイツじゃない
アイツの事を想い過ぎて、理性が効かなくなった俺の激しく勘違いした夢なんだろう……
そして俺は思考の闇へと意識を手放した――
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