その話が舞い込んだのは、3日前のことだった。

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暗闇。 遠くの方から、かすかに何かを引きずるような音が聞こえてくる。 風は全く吹いていないが、空気が不穏なざわめきに満ちているのを感じる。   うねるような振動が体の奥底を突き上げるように感じ、一瞬にして全身が粟立つ。   …サイレンか? いや、あれは犬の遠吠えだろうか? 子供の泣き声のようにも聴こえる。   遠く悲しみを湛えた響きが尾を引いて流れていく。   どうして今になるまで気づかなかったのだろう?   限りなく広がる黒い膜が重みを増す。 空気の粘度が高まり、俺の周囲は凝固していく。   …。
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