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「未琴君・・・」
『カレン・・・僕はずっと君を見守っているよ。だから生きて幸せになって。僕の分まで。そして笑って。』
「うん・・・」
涙を我慢しながらカレンは笑った。
それに未琴は再び優しく微笑んだ。
『ありがとうカレン・・・』
そう言うとスゥと未琴は消えていく。
残ったのは手紙のみ。
「こちらこそありがとう未琴君・・・」
フゥと息を吐くと振り返る。
「瑠音さんにもお礼言わ・・・」
振り返った後ろには既に瑠音の姿はなかった。
キョロキョロと辺りを見回すもやはりいない。
「瑠音さん・・・もしかして幻?」
そう思うも渡された手紙は自分の手元にある。
「おかしな人。まるで風みたい。」
クスッと笑うとカレンは歩きだした。
その翡翠の瞳にはもう悲しみの色はない。
(ありがとう未琴君・・・そして・・・)
ありがとう。不思議な配達屋さん。
「おっ?誰かの声が一瞬・・・」
そうやって振り向くも誰もいない。
「気のせい・・・ですかね?」
一言言えばこいでいた自転車を再び動かす。
目指すは次の依頼人の元。
今日も配達屋・瑠音は『もの』を届けるためにあちこちを走る。
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