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俺は、『涼』とカフェに入った
「君、大学生?」
「あ、そうです」
「名前聞いていい?」
「リョウです」
「俺は神藤貴仁。‘カミサマ’って呼んで」
「え?」
「冗談だよ、たかでいいよ」
「はい、たかさん」
『涼』は自分から誘ってきたわりには緊張しているようだった
ただ、俺が冗談を言った時にくずれた笑顔が可愛かった
胸まである明るい髪の毛先を、指でくるくると回し、触るのがくせなようだ
色白の透き通った肌が印象的だった
女は今までたくさん見てきたつもりだが、『涼』には何か特別なものを感じ始めていた
この華奢な『涼』の体が、受け止めてやらないと、今にも崩れ落ちそうな気がした
窓の外の遠くを見つめていた『涼』の横顔を、今でも俺は忘れられない…
その日、俺達は明日ハイドパークで会う約束をし、別れた
《リョウは明日来てくれるのだろうか?》
『涼』のことが気になって仕方のない俺がいた…
その日、女をホテルに連れていかなかった俺自身、驚きを感じていた
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