狙われた男

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「簡単な 捜査みたいなことなら あんたを訪ねたりはしない。もっと大変なことに 私は 巻き込まれてしまっているんだ」 「それなら 話を聞いてもよさそうですね。ただし 金は高いですよ。値段は 僕のほうからつける。アメリカと違ってこの日本では 私立探偵という正式な職業はないんですよ。だから 拳銃はおろか ナイフも持てない。危険な相手とも素手で闘わなければなりません。もし 拳銃を使えば 相手を殺さなくても 所持していたというだけで 警察に逮捕されてしまう。 また 刑事事件にぶつかれば 手を引かなくてはならない。つまり あんたに頼まれた仕事をやっている最中に 警察が介入してきたら 僕は 手を引かなければ 逮捕されるということですよ。 だが、僕が 手を引いてしまったら あんたは 困るに違いない。困らないなら、最初から警察に頼んだでしょうからね。 だから 僕は 警察に逮捕される危険を冒してでも 仕事を続けなければならない。 だから 金は こちらの言う通り出して貰いたいのですよ」
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