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桜の舞う季節
花ビラは美しい香りを運び
春の季節は新しい「始まり」を運び
同時に「終わり」を運んでくるのでした・・・
ピカピカのランドセル
新しい制服
おろしたてのスーツ
新しい香りで街を包みこむこの季節
その中に、自分には関係ない事だと
人々の「世界」から外れた青年は、一人ベンチに腰かけていた
夢もなく
金もなく
これといった才能もない青年
何をしればいいかもわからず
ただ流れる時間に身をまかせていたのだ。
その場所を道端のベンチに選んだのは
みんなと一緒の「世界」にいたいと言う彼なりの気持ちの現れだったのかもしれない 低くうなる携帯のバイブの音に気づき
彼は携帯をひらいた
「メールか・・・」
メールも読まず
青年は携帯の電源をきりポケットの奥に押し込んだ
変わりにポケットの奥にいたタバコをひきずりだした
タバコに火をつけると
ゆっくりと空に煙を吐いた
「空まで届くかな・・・」
そう言いながら
自分の想像のばからしさに苦笑いした
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