7.おひいさま

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  地に座し、いつもより低い視線から景色を見渡す。   相変わらずどこを向いても荒涼とした光景だ。 視線が低いせいだろうか、広々と開放感を感じた。 もとより、この世界からどこへも行けはしないのだが。   神妙なくらい、静かに肩にもたれていた蛇骨が沈黙を破った。 「龍羅って閻魔王と知り合いだったのかよ?」 「いや」 「親しそうだったけど」 「そう見えるか」 「閻魔王は龍羅のこと悪いようには思ってねぇって見えたぜ」 「ふん…」 「龍羅は違うのかよ?」 「親しみとかそういうのはねぇな。ただ、他の神仏に比べりゃ、まだマシってだけだ」 「マシ?」 「あいつも空界から追われてここの任に就いた神仏だからな…」 蛇骨が頭を肩から離し、龍羅に向き直った。 「追われて……戦?」 「そんなところだ。縄張り争いみてぇなものだな。あいつはそれに敗れて隷属したんだ。…そしておれたちもいずれそうなる」 龍羅は苦い顔をした。 そうだ。 いずれ…。   「傑作なことだ。永い封印から逃れたと思えば、今度は永遠に地獄の任とはな」 蛇骨が腕をきつく握った。 異形の手をさすってくる。 「おれがいる間は退屈させねぇって。な、龍羅」 龍羅は押し黙った。 「おれ、結構長くいると思うしよ。なにしろ、外道だの鬼だのって言われて暴れまくってきたからよ」 そう言って、蛇骨はにかっと悪戯っぽく笑った。   波立ち、荒れる気持ちが凪いでいく。 龍羅はその心地を穏やかに受け入れながら、蛇骨の顔に顔を寄せていった。
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