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蛇骨は近づいてくる空気を感じ取った。
自分からもゆっくりと近づいていく。
触れ合わせた龍羅の頬はひんやりとしていた。
「神って熱ねぇの?」
「熱?…さぁ…考えたこともねぇな」
「ふぅん…龍羅、冷たくて気持ちいい」
蛇骨は龍羅の首に腕を伸ばした。
触れ合うところからじんわりと熱が生まれる。
蛇骨はなんとも温かだ、龍羅は思った。
生きていたころを魂が記憶している名残りの熱か。
それとも、そもそも蛇骨の魂が温かなのか。
外道だ、鬼だと怖れられたと言うこの人間が。
くすり、と蛇骨が笑った。
「なんだ」
「龍羅、人間とこうするの初めてなんだよな」
「そうだな」
(食ってしまう為に捕らえ抱いたことはあるが)
龍羅は胸のうちで冷笑する。
「おれは何度もある。数えきれねぇくらい」
首に絡めた腕に力を込めた。
「でも神様とは初めて。おれ、覚えとくな、龍羅の抱き心地」
「…」
「ちょっとひんやりしてて、いい体なとこ」
「なら…忘れたくても忘れられねぇようにしてやるか」
龍羅、ほんと強権だな。
耳元の囁きにさえ、龍羅は熱を感じた。
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