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全く不便で厄介だ。
閻魔王の手を借りなければならないことの多いこの世界は。
やっと地獄門に戻った閻魔王に蛇骨がまたしても呼びかけ、布団をせがむことから始まり、ついでにと簡易な天幕やら水差しやら次々に出させ…
眼前に揃っていく調度品の数々に、龍羅は頭を抱えたくなった。
「おめぇはなんで地獄に堕ちたと思ってんだ」
蛇骨はすらりとした脚を布団に投げ出した。
「閻魔王とおんなじこと言うなよ。龍羅もやっぱり神なんだな」
「一緒にするんじゃねーよ」
放っておくと、ますますこいつの調子に嵌まりそうだ。
龍羅は蛇骨に覆いかぶさった。
途端に蛇骨の瞳がとろん、と潤む。
幕内に焚きしめた花の香の薫りに酔いながら、伸びやかな肢体に、龍羅は身を沈めた。
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