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いつまでのらりくらりとここで過ごすつもりだろう。
お喋りに飽きたと思えば、うたた寝をし、眠りから覚めれば香油をつけてみたり小袖を次々に替えたり。
人間とは時間の観念が違う龍羅でさえ、とうとう、蛇骨の放埒なさまに口を出した。
蛇骨は布団に俯せて足をぱたぱた、不満げに動かした。
「小うるせぇな~神様のくせに」
「小うるせぇだと」
龍羅は蛇骨の襟首を掴みあげた。
「な、なんだよ…」
蛇骨は戸惑いの色を浮かべる。
だが、こうして間近に引き寄せられ、底光りする冷たい瞳に睨みすえられているというのに、戸惑いこそすれ、一向に恐れる様子はない。
「龍羅?」
お前は恐れを知らないのか。
こいつに質して、求める答えが返るとは思えない。
今も言葉にして訊くつもりはない。
だが、ずっと不思議だった。
初めから、ずっと。
胸元から手を放し、顎で指図した。
「天幕も布団もさっさと片付けちまいな」
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