1.のづら過ぎり

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  『ずっと向こうの原っぱ』とはこの辺りだろうか。 鬼どもがやたらと多く見られる。 しかもどいつも妙に浮足立っている様子が癇に障る。   龍羅はその中を進み入った。 鬼達は龍羅に気付くと、慌てて潮が引くように去る。 さっとその逃げ行く先に回り、龍羅は手近な奴を捕えた。 「おい、人間がやってる芝居小屋はどこだ」 「こ、ここだが今日はやってね」 鬼は最後まで言えず、縊られ消滅した。 「しょうがねぇ…ひと暴れやれるまで少し待つか」 辺りには鬼達の影も形も無くなっていた。 龍羅はどっか、と地に腰を降ろした。   暫く瞑目しただけのつもりだった。 ふと周りの空気の変化に気付き、目を開けると目の前で例の人間が顔を覗きこんでいた。   一体いつ戻ったんだ? こんなに近くに寄られるまで気付かないとは。   「何してんの?昼寝?」 「…てめぇは…」 「あんたやっぱり近くで見ると色男だな~」 頬を染めて笑う顔を、おれはまじまじと見た。   (なんだ、こいつ…)   その時、龍羅は今までに感じたことのない漠然とした落ち着かなさを抱いた。   それまでは確かに食ってやるつもりだったのだが。 この落ち着かない感覚は何なんだ。   「なぁ、あんた会いに来てくれたの?嬉しいなぁ~😃💕」 あはぁ💕とまた笑った。   龍羅はただ、凝視するばかりだった。
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