9.風追い

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  蛇骨の魂魄を食った感触はなかった。 それなら一体、光の核はどこへ行ったんだ。   龍羅は狼狽して、辺りを、空を懸命に見回したが、荒涼とした原野と赤茶けた空に何も見つけられなかった。     「蛇骨」   「蛇骨」   「蛇骨!!」   「蛇骨……」   四方に向かい、呼びかけた。 だが、魂魄が応える気配すら感じられなかった。   たった今まで、濃密な時間を分かち合っていた存在の喪失。   言い知れぬ暗い寂寥感が胸を襲った。   鬼相手にやり過ごすしかなかった空虚な時を、どれほど蛇骨は埋めていたことか。 ようやくに龍羅は気付いたのだった。   あいつを… あいつを探さなくては。 おれが食って滅したのでないなら、この地獄のどこかにいるはずだ。   まず頭に浮かんだのは ―閻魔王。   この地の全ての事象を把握し、掌握しうるものは何をさて置き、疑わしい。   (――地獄門へ行くしかない)   苦々しく舌打ちしたい思いを抱え、龍羅は目指す方へ地を蹴り向かった。
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