2.kidnap

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  『ちょっと待ってな。 おれの相棒取って来るからよ。』   屈託なく人間が言い、ぱたぱたっと駆けていった。 白い天幕の中に入っていく。   あれが人間の根城、芝居小屋か。 ったく、せっかちな奴。 そう急がずとも刀の錆にでもしてやるものを。 龍羅はほくそ笑んだ。   しかし。 すぐ戻るようだったのが、なかなか天幕から出てこない。 いくぶん、天幕に近寄り様子を窺っていると、龍羅の耳にやいのやいのと小競り合う声が聞こえてきた。   「約束しちまったもん、やるんだったらやるんだよ!!」 「何聞き分けねぇこと言ってんだ!!見世物以外で使うなって言われてんだろーが!!」 怒号が轟いた。 「あっ返せよっおれの相棒だぞ!!」 「だったら腕ずくで取ってみな!」 そんなやり取りが続いた揚句、 「大兄貴のばかーーー!!」 一際大声を上げ、奴が飛び出して来た。 勢いあまって、龍羅にぶつかる。   「っ?!」 「どうした」   「っつ~…鼻うったぁ…」 龍羅はよろめく細っこい肩を掴んだ。
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