2.kidnap

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  「おい、手合わせとやらはしねぇのか」 人間が子供のように口を尖らせた。 瞳が合うと、龍羅は、また何と形容していいか分からない、落ち着かない気分になった。   何故、こんなにざわざわした気持ちが体中を這いずるのか。   「大兄貴が…閻魔王に私闘は禁じられてるからだめだって…見世物以外使っちゃいけねぇって…」 「閻魔王?」 「おれの蛇骨刀…取られちまったんだよぅ~~!!」   少なくとも人間は二人いるらしい。 それに閻魔王は何のつもりか、こいつらに芝居小屋をあてがい、武具の使用まで許しているらしいことが知れた。   (ふぅん。只事じゃねぇな。この人間、他とちっと違うらしい。ますます食ってみてぇ)   だが、凄まじい殺気が自分に向かってくるのを感じた。 目の前のこいつじゃない。その後ろ、天幕から出て来た小童っぱだった。 「新手の鬼か。蛇骨から離れろ」 「何が鬼だ」   この人間の目、これは良い。 龍羅は落ち着かない気持ちがおさまり、狩る時の昂揚感が湧いてくるのを感じ、安堵した。 「蛇骨から離れろっつってんだ、聞こえなかったか」 「大兄貴…。な、あんたちょっと離し…ぅわっ」 龍羅は愛刀のひと振り、風刃牙を奮った。   「ふっ。こいつは頂く。約束も果たされていないからな!」 疾風がごうっ、と砂塵を巻き上げ結界をつくり、視界を奪う。 小童っぱが怒声を上げた。 「!! てめぇっ蛇骨を離せ!!」   竜巻のような砂嵐が止んだ時、龍羅と蛇骨の姿は忽然と消えていた。
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