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――首都『エデア』より送ります。
ユシール・ディドー=リアス
そこに書かれていた名前に、思わず息を飲んでいた。まさか彼女が手紙を送ってくるなんて、思ってもいなかった。
戸惑いながら封を開けようとして、
「テアルくーん、準備が出来たらいらっしゃいねえ」
「あっ、今行きますんでっ」
飛びそうになっていた意識を、現実に引き戻した。もう一度部屋に入り、手紙をそっと放り投げた鞄の上に置く。
読むのは、後にしよう。
夕飯食って、とにかく勉強して、寝る前にでも。うん、それがいい。
そんなふうにあえて手紙の存在を意識の外に押し出しながら、俺は階段を駆け降りた。
西の空にうっすら浮かぶ月が笑っていた。
[-to be continude.]
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