149人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
そうこうしている内に、目的地の農場が見えてきた。
カリンさんから連絡が行っていたのか、年配の女性がこちらを見るなり泣きそうな顔で走り寄って来る。
「娘が、刺されて病院にっ……でも蜂はまだその辺にいるんです! うちの畑から出て行かなくて……!」
「落ち着いてください。大丈夫です。すぐに駆除しますので、案内を」
ジンさんがさっと飛び降りて女性をなだめる。
俺も遅れてトカゲの背中から降りると、近くの木まで連れて行って手綱を結わえた。
鞍にくくりつけて置いた虫取り網と虫かごも忘れずに、既に畑の方に向かっているジンさんたちを追う。
「数は?」
「1匹だけ……でもすごく大きくて」
「体長が大体どのくらいか分かりますか? 足長蜂くらい? それとも熊蜂くらいかな」
「分かりません……でも、み、見たことないくらい……」
「大丈夫ですよ。すぐに片付けますんで、下がって待っていてください。――テアル」
「あ、はいっ」
ジンさんが手を出したので、そこに虫取り網の柄を乗せる。
最初のコメントを投稿しよう!