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 ふいに、ブウウウウン……という不気味な羽音が聞こえて、ぎゅっと胃の辺りが収縮した。  ヤバイ。緊張する。そりゃあする。  危機レベル3なんて、ジンさんにとっては大したことなくても、俺にとっては恐怖そのものだ。  その対象生物が、畑の上空に見えた。  太陽光を受けて輝く真紅。蜂にしてはかなりデカイ。 「アレだな」  無造作に虫取り網を回して、ジンさんが口の端を持ち上げるように笑った。  制服のポケットから小さな青い欠片を取り出して、口にくわえる。  エレメンタルは触媒だ。  大気マナと体内マナを無理なく循環させるための通り道で、鉱物自体に含まれている属性によって色が変わる。  青は、水。  青のエレメンタルを通過させることで、マナは水気を増し、水の魔術の発動を助けるのだ。  なんって、全部ジンさんから聞きかじっただけの受け売りで、何度実践してみても魔術使用の際に『何が起きているのか』はよく分からないんだけど。
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