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「やっぱ武器、とか」
必要だったんじゃないっすか、とビビった俺がぼそぼそ言うと、ジンさんは呆れたように振り返ってエレメンタルを手に持ち直す。
「あのなぁ。いいか。よーく考えろ? たとえ魔銃持ち出し許可が出たとして、お前、アレに当てられんのか?」
アレ。そういう風に言われてみると、あんなにも大きく見えた蜂が随分小さく思える。素早くぶんぶん飛び回っているし、動きも読めない。
「……無理っす」
「だろ? 俺だって無理だっての。飛んでる蜂を狙うくらいなら、まだ飛竜相手のほうが楽に当てられる」
そりゃ、的のサイズが違うんだから。どんなに小型の飛竜だって馬の2、3頭分は体積があるだろうし。
とはいえ、飛竜の飛翔スピードが生物界でもトップクラスだということを考えると、どっちもどっちだという気もする。
「蜂を打ち落とせるような奴なんて、国中探して居るかどうかじゃねぇのか?」
「で、す、よね」
肩をすくめてみせるジンさんに一応同意するものの、じゃあ虫取り網なら余裕っすよね!――と笑い飛ばせるほどの精神力も俺にはまだなかった。未熟だ。
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