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ブウン……と宝石蜂が左右にぶれる。魔力の波動を感じて、警戒している様子だった。
更にジンさんが近付くと、滞空位置から急激に旋回し降下してくる。
左手に透明のエレメンタルを、右手に虫取り網を持ったジンさんが軽く跳んだ。
蜂の軌道を読んで網を振る。
けれど、直前で唐突に動きを変えた宝石蜂にあっさりとかわされてしまった。
空中を踏んで、ジンさんは更に網を伸ばす。
避けようとした蜂を、今度は網の縁がかすった。それだけで、盛大な火花が飛んだ。
キィン!――と、属性の反目しあう嫌な音が響く。空中のマナが一気に凝縮されて、まるで蜃気楼みたいに背後の山が歪んだように見えた。
嫌な感覚とガラスを引っ掻いたような音に思わず耳を塞ぎそうになった瞬間、俺は慌てて脱いだ上着を翻した。――ジンさんの虫取り網同様、水属性の魔力を付与して。
そこに、真っ直ぐに滑空してきた宝石蜂が衝突した。
キイイイィィン!
更に凄まじい高音。
激しい衝撃があって、俺の体はあっさりふっ飛ばされた。真後ろに転がって体を丸めるが、余波で腕がジンジンする。
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