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「今日は悪かったな、リカルラ」 「大丈夫。久しぶりにこっちの仕事できて楽しかったし。特係も悪くないけど、やっぱ国からの依頼は偉そうな感じがちょっとねえ」 「向こう、平気だったか?」 「うん。ちょこっと残業すれば帰れると思う」  本来ならしなくていい残業だっただろうと思うと、やっぱり申し訳ない。  俺はむせるのを死ぬ気で止めて、頭を下げた。 「リカさん、すみません! なんか迷惑……」 「ううん、テアルはなんにも悪くないでしょ。大丈夫、ちゃんとジンロに貸しにしておくから」 「げ。……ああ、分かった分かった。借りとく」  リカさんが「ん?」と笑顔を向けると、ジンさんも降参だというように両手をあげた。この笑みに勝てる男は役所中探してもいないに違いない。  つられて高く持ち上げられた虫かごに夕陽が差した。深紅のきらめき。自然とそこに視線が吸い寄せられる。
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