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「宝石蜂ってマジで綺麗ですね」
「そうだね。私も初めて見たよ」
ちょうど真横くらいにあるリカさんの顔も上向きになって、まじまじと宝石蜂の赤を見つめている。
よく見ると、羽には金の縁取りと筋が入っていて、体は本物の宝石のように――いや、本物なんだっけ?――透き通っていた。それが、魔力を帯びた優美な輝きを放っている。
これって、今更だけど相当な値段になるんじゃないだろうか。
「売り飛ばそうとか、考えてませんよね」
「ん、あぁ――そうか。そういう手も」
「「ありません」」
俺とリカさんの声が被る。
ジンさんは飄々とかごを更に高く持ち上げて「冗談だ」と笑った。
この人の言動は、まったくどこまで本気なんだか。読めないよなぁ。
「ちゃんと、明日になったら警察局に引き渡すさ」
「ならいいんですけど」
いや、本当は明日ってこと自体あんまりよくないんだけど。
リカさんが言って聞かないんだ、どうせ俺の批難なんかそよ風にもならないんだろう。
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