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「あの。証明書、早くしてほしいんですけど」 「あー、ハイ! すぐに!」 「あのー。魔術使用税についてちょっと質問が……」 「スミマセン、税金関係は税務局までお願いしますっ」 「テアル! 茶ぁ!」 「それは今無理っす! 自分でいれるかちょっと待ってて!」  灰色の狭苦しい建物内部。机に積み重なった書類。コードが絡まりあった通信機器。  ごちゃごちゃした室内に、声が入り乱れて飛び交う。  役所内なんてどこもこんなもんかもしれないけど、術管(じゅつかん)は特に酷い。  床に積んである本の塔を崩さないように走り回りながら、今日も俺はため息をついていた。  全く、なんでお役所なんかで働いているんだろう、と。   
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