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「違う。リカルラは才能があるから仕事が速いんじゃない。それだけ年季を積んでるからだ。お前と同じように、お前以上の期間、下積みをやらされてたってことだよ」 「……えっ?」 「そりゃ、1年も2年も延々とデータ処理やってりゃ、早くもなるって。お前だって、最初ここに来た日と比べりゃ、進歩はしてるさ」  言われて、初めてそのことに思い至った。  そりゃそうだ。  誰だってそうだ。 「見込みのねえ奴に、たとえ雑用だろうと仕事押し付けたりはしない。リカルラが勉強しろって言うのも同じだ」  お前には出来る、と言葉の裏で告げられた。  ジンさんにしたら最大限の賞賛の言葉だ。  何とも言えない気持が、腹の底から湧きあがって来る。恥ずかしさと、いたたまれなさと、強烈な焦り。  俺ってどんだけガキなんだよと思って、少しでも早く駄目な自分を修正したくて、すぐにでも走り出したくなる。
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