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予想通り、窓から飛び降りた直後に聞こえてきた声の主からも届いている。
訂正の必要があるものは出来るだけ早くこちらから伺わなければならないし、通信番号がついているものは、多分、連絡して謝罪しろという意味だ。
「うっわやってらんねえ」
「ああ、いんじゃね? 無視で」
「ってダメっすよ!」
さらっと言って、ジンさんも自分の机から取り上げた紙を眺め、平然とゴミ箱へ――
「だ、だからダメですって! 余計怒られるじゃないですかっ」
「あぁ? 全く口うるさい奴だな、テアル。お前、役人向きだよ、ほんと」
「ジンさんは向いてなさすぎっ!」
がなると、ジンさんはふっと皮肉げに笑う。煙草をくわえた横顔が見えなくなり、背中越しに声だけが淡々と告げた。
「まあ、そうだな。俺は、お前らとは違うんでね」
全く、いい人なんだか駄目な人なんだか。優しいんだか厳しいんだか。
ジンさんについては、はかりようもない。
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