岬の家

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「きれいなままだ。」 手のひらにのる鍵は、錆びることなく夏の日差しを反射していた。 キラキラと光を反射する銀の鍵の重さを感じると何故か胸が高鳴る。 祖父がゆっくりと部屋で紅茶を入れているのではないか? このめぐるましい数年は、幻で何も変わっていないじゃないか・・・。 そんな思いが、体中を駆け巡る。 「あれ?」 あんなにずっしりと感じた鍵は意外なほど軽く、しっくりと手に収まってしまう。 祖父と共に探した鍵。 今は一人でさがしだす事ができるようになるほど、僕は成長していた。 めぐるましい現実の中で。 ずっしりとした鍵の重さと、くらくらする夏の暑さが僕を正気に戻す。
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