岬の家

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雑草をかき分け、汗だくになりながら、別荘の入り口にたどり着く。 「じぃちゃん・・来たよ。」 ガシャリとドアの鍵があく。 そして踏み込んだ部屋は、時が止まっていた。 空気すらよどんではいない。 柔らかなソファーは相変わらず柔らかく。 キッチンも昨日使ったかのように、最後に使ったティーカップに布巾がかけてあった。 まるで、だれかが生活していたような・・・なのに生活感の無い部屋。 僕はリュックをソファーに置くと、テラスに続くガラス扉に手をかけた。 ここをひらけば、きっと清々しい潮風がこの不思議な空間を拐ってくれる・・・。 そんな思いがあった。 いよいよ・・・・。 祖父との空間に、新しいかぜが。
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