岬の家

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一瞬。 ふわりと柔らかな紅茶の香り・・・? いつも祖父がゆっくり紅茶をを飲みながら、座っていたロッキングチェアが揺れていた。 ぎしぎしと。 とても自然に。 風が揺らしたように。 硝子扉に向かう僕は、優しい祖父の暖かさを・・・感じていた。 心地よくて、いつまでも浸っていたい・・・。 でも。 祖父の残像に涙を流す僕は。 思い出にいつのまにか浸っていた。初めて、ここに来たこと。 祖父の入れるアイスティー・・・。 もう・・・過去の事なのに。 (大丈夫さ・・お前なら。) ああ・・・じいちゃん。 その声に押されるように、テラスに続く硝子扉を開け放った。 びゅぅぅと。 夏にらしい潮風が、部屋中を駆け巡る。 ふわりと、祖父が頭を撫でてテラスから外に・・・踏み出していった気がした。 「じぃちゃん・・・。待っててくれたのか・・・。」 僕はキッチンでお湯を沸かし、祖父のようにアイスティーをいれると、サマーベッドをテラスに持ち出した。 テラスから見渡す景色は、祖父と見た景色と変わることなく。 自分で入れたアイスティーは少し苦い味がしたが。 さんさんと降り注ぐ太陽と、心地よい潮風に吹かれ。 僕は、祖父の思いでと対話して夕日を迎えた。 ~終~
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