涙の遺書

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「…ごめんなさい…ごめんなさい…」 細く震える声で少年は呟く。瞳には今にもこぼれ落ちそうな涙が溜まっている。 自分の部屋なのだろう。 勉強机に座って、便箋のようなものに文字を書き綴(つづ)る。 部屋の中は暗く、少年の周りだけが電灯で明るく照らされている。 ポタリ‥ 落ちた涙に気付き、少年はペンを止める。便箋の文字は水分で少し滲んだ。 椅子を机から離すと、少年は顔を覆(おお)い、声を殺して泣き出した。
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