涙の遺書

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父親は少年が幼いころに事故で亡くなっている。母と息子、2人きりの食事はいつものことだった。 裕福ではないけれど、不自由を感じる程ではない生活。 「…ごちそうさま。」 少年が箸を置く。 「もう? 全然食べてないじゃない。どこか具合悪いの?」 「そんなんじゃないよ。ちょっと食欲ないだけ。」 少年は母親の言葉を軽く流す。 心配そうな母親の顔を見て、明るく答える。 「昨夜遅くまで起きてて、小腹が減ったから軽く食べちゃったんだ。そのまま寝ちゃったからお腹空いてないんだよ。」 母親は、そんな息子の言葉に軽く呆れ顔になる。
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