第三章 破壊の使者

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4人は静まり返った廊下を歩いていた。 足音の反響音が更に不気味に思える。 「セルレイ様…学園内に侵入した魔物は…」 「恐らく南の森のトロル…」 「!!!!…トロルって!上級魔物じゃない!!」 レアナは立ち止まって叫んだ。 「あれ~レアナったら怖いのぉ?」 マルティスがレアナを茶化した。 「そんな事!!…クスッ」 レアナはマルティスを見て笑う 「マルティス、あなた足が震えてますよ?」 マルティスは顔を赤らめた。 「うっ…うるさい!! これは武者震いだ!!」 後ろで二人がギャァギャァ言い合っていたが、セルレイがそれをやめさせた。 「来たぞ…」 セルレイがそう言うと廊下の暗闇の方から、地響きのような巨大な生き物の足音が聞こえた。 セルレイは背中の大剣を抜き構え、ミナリアはバトルコスチュームになった。 レアナは指輪をはめてある右手を前に出し、構えているが、腰がひけて立っているのがやっとのようだ。 一方マルティスはしっかりと立ち、闇へと目を凝らしていた。 そして闇から3メートルはあろうかという巨体が現れ、この世の物とは思えないような大きな鳴き声を出した。 「来たな…トロル…」 セルレイとミナリアは剣の柄をきつく握りしめる。 「…っでか…」 マルティスは呆気にとられ、レアナは鳴き声に驚き、しりもちをついていた。 「グガルラァァァァア!!」 トロルは一頻り鳴き叫ぶと、右の拳を振り下ろした。 トロルの巨大拳は、地面を揺らす。 ミナリアとマルティスは後ろに跳び避けた。セルレイはレアナを抱えながら避ける。 「マルティス!!」 「何だ!?」 「そこで、レアナを護ってろ!!」 マルティスに命令した。 「アイサァ!!」 マルティスの返事を聞いたセルレイはフッと笑ってトロルに向き直る。 「行くぞ、ミナリア。」 「はぃ、セルレイ様…」 セルレイは高く飛び上がり、大剣をトロルの頭に振り下ろす。 「!!」 大剣はトロルに捕まれ、そのまま壁へとセルレイは叩きつけられた。
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