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チャイムが鳴ると、解放感で満たされる箱型の室内。
「さて、食べるとするか。」
うんっ、と一伸びしてから後ろへ椅子を向ける。
彼女も解っているからニコニコとしながら可愛い包みを机に置き、
「うんー、食べよう~。 お腹空きましたー。」
待っていました、と言わんばかりの雰囲気は隠せないようだ。
まったりしたこの口調に反し……
「うん、相変わらずで何より。」
「今日はね~、唐揚げと卵焼きとベタにしてみましたー」
ぱかっ、と効果音が聞こえそうな
三段お重箱。
唐揚げ、卵焼きは確かにメインなのだろうけど……
「これは?」
「白和え新味挑戦しましたー!」
「ほうほう。……で、また野菜もたっぷりと……」
「ばっちりだよー!」
――うん、好きな相手には料理で攻めれば確実だろうな。
「美味しそうだね。この辺りとか特に。」
「二人分はあるから大丈夫~!」
「あ、いや……集るつもりではなかったのだが」
「じゃあ交換ね! いつものパン屋さんのでしょ?」
――この辺り、彼女との会話を思い出す。
「いつもそのパン食べているね? それ、何処の?」
キラキラと聞こえそうな――仔犬を思い出させる目で、尋ねてきた。
「……近所のパン屋、だけど……」そんなに美味しそうにはみえないだろう。
実にシンプルな――食パンがあるだけ。
私は偏食とか、節約をしている訳ではなく。
――只、生きる為の糧を摂取している――
女の子たちみたいに、目の前のこの子みたいに『美味しそう!』というものがないのだ……
「あの。あのね!
一緒にご飯食べない?」
「……はい?」
「えーと、パンに合うサラダ! うん、今日のご飯に入っているのに食パンが合うから……ちょっと交換……してほしいの……//」
一気に言った後、こっちが照れてしまう位真っ赤になっていた。
「いや……わ「あーあ、とうとう我慢できなかったかー」「狙っていたからね~」
――断ろうとしたら、周りが存外ギャラリーがあって……
「あ、この子のお弁当すごいよ☆ 見て食べて損はないから」 「うんうん、交換して損はなし♪」
両サイドからそんな事を言ってきたクラスメイトは……
――何故机をつける。
「ささっ、交換タイムだ! 机用意したから、ご飯もってこーい!」
「はーい!」
無視ですか。
――内心、呆れて口が塞がっていなかった。
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