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「有無…… これは、なんと…… 難題な。」
「あら、珍しいですね。そんなに頭を抱えていらっしゃる姿は初めて見ます。」
ことり、と程よい香りを連れ、くすりと彼女は笑いながら言ってきた。
「……前半に何やら引っ掛かるものを感じるがそこは置いて……
有無、なぜだか…… これ程単純且つ思い出さされる事は、ないな……」
少し眉間を寄せ、ひらりと紙を見せる。
まぁと口元で呟き、
「――教授(せんせい)は随分……お茶目な御方ですね。
――同時にとても素晴らしい問だと思いますよ。」
「――枯れ木御爺の、にも思うが……」
「そんな言い方は失礼ではありませんか?」
嗜めつつ、クスクスと小さく鈴を鳴らすように笑う。
――そんな仕草一つに。
ことりと胸が傾くような、とくん、とひとつ大きく鳴る感覚が伝わる。
――何時からか、否。気がつけば……
(だから、尚更…… この問は答えにくい……)
「ふふっ。」
「――そう言えば、さっきから笑ってばかりだか……
――そんなに唸る私が楽しいのか?」
笑われる程……醜態を曝していたのだろうか?
「いいえ、そんなに眉間を寄せないでくださいな。
私は、初々しいお姿を見られて……可愛い、と思ったからですよ。」
「な…… う…//」
――しまった。
これでは、ますます。
――ことのはに 綴りきれない……
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