綴ることのはに。

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お嬢様が珍しく、頭を抱えて問と向き合っていました。 軽く頭をかくお姿は珍しく…… 恋文を書いているようにも、見えました。 お嬢様はお歳以上の知識を持っていて……世間でいいます「秀才」と呼ばれる御方故に……いつも流れるように筆を運ぶお姿よりお年頃に見えました。 そう、まるで…… 「恋文を綴るのに、悩んでいるように見えましたよ。」 と、少しからかえば。お嬢様は、ぱち、とまばたきをせずにこちらを見た後、 「そうだな…… うん、これはそれに近い、か……」 と呟き、 耳まで赤くなっているのがますます愛らしく思えました。 まぁ、そうでしょうね。 先生の出された宿題は、 『身近にある愛情を、ことのはに』 でしたから。 「私は今という時間も含めて好きですね。」 と、私も宿題をしてみれば。 「そ、そう……か。」 と小さな声で恥ずかしそうに返してくれました。
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