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一番近い場所へ触れてみる。
急にとった行動のせいか、ひくり、と彼女は軽く身を固める。
とくん、とくん、とくん
その後に伝わるこの音は一定のリズム。
私と違う、リズムが聞こえる。
「――どうした?」
とくん、とくん
まだ少し早いリズムの中に声が響く。
「ん…。 心臓の音がね…。」
「ああ、そうしていたら伝わるからな。」
「私と違ってちょっと早くって。……何だろう、すごく心地いいの。」
「――そっ、か。」
とくとく…
(あ… 速くなった…)
ちらっと見上げると、
「――そんなに、いいのか?」
ぶっきらぼうに聞いてくる。
ああ、これは所謂。
(照れ隠し?)
だって
落ち着かない目線と心音と。
ちょっと真っ赤になった顔がそう言っている。
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