2人が本棚に入れています
本棚に追加
赤く染まった夕焼けの空が、夕闇に包まれようとしている。太陽は山に消えつつあり、星が僅かながら、輝き出している。
段々と暗闇へと同化する空の下には広大な土地、大きな町が広がっていた。この町を知らない人ならば一つの国と思ってしまうほどの大きさだ。
その町は東と西に完全に分かれている。東は鉱物が取れる地帯が、西には豊かな自然が溢れる森林、山地がある。それゆえに東は鉱業、西は産業や商業が発達している。一つの町だが町の人には名称で呼ばれている。
東のミネラル。
西のマテリアル。
見た目は大きな町、しかし人口は町に比べて少なかった。町と比べても、全体の3分の1ほどしか人がいないのだ。
闇に包まれる前の町並みは、人がまばらで少ない。
人が少ないと言えども、昼頃には町の中央にある円形の通りと真ん中の噴水に、祭りなのかと思わすような人が売買の為に、その場所へごった返す。
賑わっている売買の背景の裏には悲惨な状況があった。
人が少ないせいで、どの仕事も人手が足りていない。なので十代前半の子供が学校に行かず、様々な場所で働いていた。
厳しい力仕事でも、か弱い少女や少年を雇っている。
だがこの町では決して珍しくはない。少ない人口を考えての結果なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!