始まりの宴① 金色の少女

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青々とした木々が生い茂る森を、一人の少女が駆けていた。 映えるような金色の髪を風になびかせ、特徴的な紅の瞳はただ前を見つめ、常人とは思えぬ速さで生い茂る木々の間を縫うように駆け抜ける。 ――全ては、後方より迫りくる脅威から逃げる為に。 彼女の後ろに迫るのは、千年の時を生きる負の遺産、意思持たぬ機械人形アーティファクト。 全身を覆う装甲は、木々の合間より差し込む木漏れ日に照らされ不気味に黒光りし、装甲の隙間から除く一つ目はただ、前を行く目標だけを見ていた。 人の何倍はあろうかという剛腕を無造作に振り払い、木々をなぎ倒しながら、目標を追う。 「ちっ、しつこいな……」 少女はちらりと後ろを振り返り、後方よりなおも迫りくるアーティファクトを見て短く舌打ちした。 両者のスピードは互角。 ならば、雌雄を決するのは、各々の体力だ。 かたや、速さこそ常軌を逸しているが人間。 かたや、目的を遂行するまで動き続ける機械人形。 何らかの策をうたなければ自分に勝ち目はない。 少女はそう思い、急ぎ思考を巡らせる。 何か、何かないのか――? 辺りを横目で見ながら、この状況を打開出来るものを探すが、非情にも見つからない。
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